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新・YOCTO コルテックス編 第9話 22:00~
2013/12/01(日)23:16:56(12年前) 更新
コルテックス編
充実(?)した1日です
今の五代目の研究所は世界征服を行うための研究室とは別に、ワシ達のメンバー全員が寝泊まりするところもある。
職場と宿舎が同一の建物内にあるということだ。
昔の研究所だったら、メンバーが少なかったので研究をするスペースを中心に考え、余ったところに個室を置くというので済んだ。しかし今ではメンバーが多くなったので間取りも色々考えるのに苦労する。
だが、今までのワシとエヌジンの研究所建築実績を考えてみると実はワシ達は建築家としてのスキルあるのではないのだろうか。
実はそちらが天職なのかもしれない。
だからワシの部屋は研究室へ一番近く、かつ一番大きな部屋を手に入れたのである。
なんだかんだで気に入っているベッド(セミダブル)や『超タタミ~』と言わしめた素晴らしき和室。
五代目の研究所にして、最高の部屋を手に入れたワシ。
そんな素晴らしきワシの部屋が、
爆破され、
跡形もなく、
ベッドも、
タタミも、
何もかもが、
焼け焦げた。
「…………………………」
「…………………………」
「……まずは、飯を食おう」
「拙者の部屋で、時間が時間なのでカップラーメンでいいでしょうか」
「ああ、一番高級でかつ量の多いので頼む」
とにかく、ワシは体から出ている大量の胃液をどうにかしたい。
結局エヌジンは、『ガ王(とんこつ)』という割と高級そうなカップめんを用意してきた。
恐らくエヌジンにとっては最高の詫びなんだろうと思うが、あいにくワシはとんこつ味はそれほど好きではない。
ましてやガ王というブランドのはなおさらだ。結構その手の中ではなかなか高級なものだそうだ。
でも、いいか。
今は腹の中に何でもいいから入れておかないと、まともな話ができない気がする。
そう思いながらワシはカップめんを食べた。
「さて、今ならまともに話し合えるぞ。エヌジン」
「あの部屋がどうなったかについてですかな」
「それ以外に話しようはない」
「わかりやすく、手短にお話をいたします」
「頼む」
ワシに若干の緊張が走った。
「拙者…………コルテックス殿がいない間に」
「……」
「……勝手に部屋に忍び込んでヨクトウイルスを作っていたらこうなっちゃいました。テヘッ☆」
「…………」
「キャハ★」
「………………」
「アハッ。照れ隠し///」
「……………………。シャー」
「わー。コルテックス殿が暴れだした」
「シャー」
「誠に申し訳ありません。拙者も年だから暴力はかわしきれませんよ。何発か当たっていますよ。痛い」
「シャー」
「落ち着いてくだされ、コルテックス殿。まずは深呼吸からいたしましょう」
「シャーシャー」
「コルテックス殿、この話には続きがあります」
「シャー……んっ?」
続き?
ワシの部屋が爆破された話に何か続きがあるのだろうか。
「ワシと拙者でこの研究所に住んでいるものですらシークレットに進めていたこのヨクトウイルスじゃが」
「それは今となったらワシ一人でやればよかったと思っている」
「昨日の時点ではヨクトウイルスの性能や作り方、そして作るのに必要な材料や機械全てを揃えました。そして材料や機械はコルテックス殿の部屋に置いたままじゃ」
「そしてウイルスの仕様書や作り方についてはエヌジンが『一人で部屋でじっくり読みたい』というからワシは昨夜エヌジンに預けた」
「そして一夜明けると拙者はいち早くウイルス作りたいという願望がわいてきました」
「今そういわれると今日のエヌジンなんだかおかしいなと思う」
「そして昼過ぎ拙者はこそっと先に研究室に帰り、仕様書通りに作ったのじゃが……」
「それで部屋が爆破か。とりあえずワシは狂人化したほうがいいのか」
「機械が爆破してコルテックス殿の部屋が爆破したのはお分かりでしょう。問題は、爆破したにもかかわらず成果物があるってことですぞ」
と、ふとエヌジンはワシの部屋の片隅を指差した。
焼け焦げた家具の残骸しかないかと思っていたが、よく見ると部屋の奥に焼け焦げていない小さなものがあった。
が、いくら焼け焦げた部屋だといっても、残骸の上に置いてあったとしても、その容器が実際あるのかどうかがは、ワシとエヌジンは容器があるところへ近づかないとわからないほど、とても小さかった。
「これは……なんだ」
その容器は透明で中に気泡のようなものが入っていた。
恐らく1辺が1cmほどのスクエア型のガラス容器だった。
「この容器は、確かにヨクトウイルスを保存し媒介するもので間違いない」
「ええ。しっかりできているでしょ。容器は」
ヨクトウイルスっていうだけあって、ウイルスはもちろんヨクトサイズだ。
現状、世界で通用する大きさの単位で最も小さな単位がこのヨクト(yocto)だ。
0.000000000000000000000001m=1ym となる。
ちなみに、1cm=100mである。
ヨクトウイルス1個の大きさはおおよそ1ymである。
それゆえ、肉眼で見るのはまず無理である。
電子顕微鏡でも、並のではあやしい。
だが、そのヨクトウイルスを見る特別な電子顕微鏡は、焼け焦げて使い物にはならないのだが。
それゆえ、容器ができても中身があるという保証は一切ない。
「エヌジン、容器ができたのがその成果物だといいたいのか。こんな容器を作るぐらいならいくらでも簡単に作れるぞ」
1cmのスクエア容器の中心部に、1mmほどの長丸のような楕円形の気泡が入っている。
「ぶっちゃけ、密封ができれば何でもいいのですがね」
ウイルスに限ったことではないのだが、危険な物に対しては保存方法は非常に重要となる。身近な例としては、バナナはバナナスタンドとかいうのを使って、縦に置くのが理想である。
まぁ、あれだ。服をハンガーにかけるアレみたいな感じだ。
「王水みたいな特殊なのを扱う場合は、確かに容器の種類をはじめ、光を当ててはいけない、温度調整など、様々な条件を満たさないといけないのであるが、今回の場は密封さえできればそれでいい。だが、そんな密封容器を作るのにここまでの犠牲を払わなければいけないのか」
「ふっふーん。コルテックス殿。見てくだされ」
そういって、エヌジンの白衣に手を入れて、何かを出した。
「名付けてポケット電子顕微鏡。1𥝱(じょ)倍も可能ですのでよーく見えますぞ」
1𥝱倍と言えば、1000000000000000000000000倍するという事だ。
つまり、10の24乗。最大で10の24乗倍できるのがこの顕微鏡である。
とはいっても、最大スペックの一𥝱倍を使ってしまうと、10のマイナス24乗であるヨクトウイルスが1mの大きさで見えてしまう。さすがに約5cmほどのレンズのルーペでは大きすぎるので、ちょっと調整して2000000000000000000000倍の2垓(がい)倍ぐらいに調整する。
というか、ここまで拡大できる顕微鏡は本来超絶大規模な機械を使って、数秒見るだけでも莫大なエネルギーやお金がかかるはずなんだが、エヌジンのは携帯出来るほどの小型化の成功どころかスイッチ一つで倍率の変更。さらにはUSBで充電可能といった、間違いなく世に出たら大変なことになるぐらいの品物であった。
まぁ、世界征服を目論むワシ達の科学力は十分世界を轟かせるほどのはあるはずだ。
焼け焦げて使い物にならなくなった電子顕微鏡でも、ヨクトウイルスが見える性能の割には比較的小型であるので、これでも世界を轟かせるのは十分である。
ちなみに、必要なエネルギーは100V10Aの電源ケーブルから電気としていただく。
もし万が一ちゃんとできていたら、おそらく5mmぐらいのウイルスが見えるはずだ。
そんな期待を持ってワシはポケット電子顕微鏡を見てみると……
色とか、細かいところではワシの仕様書や想像とは異なる部分もあるが、仕様書と大体同じ物質がそこに見えていた。
ワシが研究開発へ勤しんでいるヨクトウイルスとは、一言で言えば人工微生物である。
半分機械、半分生物であるなかなか名状しがたいものである。
それゆえ、簡単に言い表せられるほど簡単な品物じゃない。
3行では絶対無理だ。
なぜなら、例えばその辺に落ちてある石ころが分裂する。そんな現象に似たようなことがこのヨクトウイルスには起こる。
いうなれば、単細胞生物の細胞分裂を起こす。そう説明すると一番イメージがわくかもしれない。
そうやって勝手に増えていく。
そしてヨクトウイルスの機能は、生物部分によって細胞分裂の如く繁殖および他の生物に感染させる能力を担い、機械部分によってヨクトウイルスの寿命向上や洗脳時の操縦を行う能力を担っている。
そんなヨクトウイルスだから1から無量大数まで増えるのは容易だ。
だが、0から1にするまでにワシ達は多大な苦労をした。
そしてその苦労が1cmほどのスクエアのガラス容器の中身によって、
報われた。
「ちゃんとできている……よな」
「全てはコルテックス殿の目で見て確かめてください」
一番確かな確認方法は今この容器の中にいる(であろう)物質の成分解析を行うべきなのだが、その機械は見るも無残に焼け焦げている。ここにきて、いくら研究所内ですら秘密にしているとはいえ、一つの場所に機械の置く場所や開発場所など、一か所に集中させすぎた。
こういったリスクマネジメントはちゃんとしようとちょっとワシは反省した。
関係ないが、ワシの部屋は滅茶苦茶広いぞ。
これは研究所設計者の利点だ。
「今できる確認法と言えば、アレかな」
「そうですじゃ」
今すぐにできる確認方法は、今この容器の中にいる(であろう)物質が分裂するか否かだ。
少なくともヨクトウイルスの仕様では、ほっとけば勝手に増えていくようになるはずだ。
ワシは見る。とにかく容器の中をポケット電子顕微鏡で見た。
倍率は、たくさんの物質が見えるように1垓倍にする。
すると見える。見えるぞ。
1個のヨクトウイルスが2個。
2個のヨクトウイルスが4個。
4個のヨクトウイルスが8個。
8個のヨクトウイルスが16個。
16個のヨクトウイルスが32個。
32個のヨクトウイルスが64個。
64個のヨクトウイルスが128個。
128個のヨクトウイルスが256個。
256個のヨクトウイルスが512個。
512個のヨクトウイルスが1024個。
確かに、単細胞生物の細胞分裂化の如く、増えている。
だがしかし、増えすぎじゃないのか。
ワシはほんの10数秒ぐらい、ヨクトウイルスのうち1個だけを中心でのぞいていたんだが、その1個のヨクトウイルスがもうここまで増えたような気がする。
ふとワシはポケット電子顕微鏡の倍率を落とし気泡全体を見てみた。
「ヒッ……」
ひょっとワシが悲鳴を上げるほど、そこのヨクトウイルスがうじゃうじゃいた。ちょっと気持ち悪いぐらいうじゃうじゃいた。
「エヌジン。これはいくらなんでも増えすぎじゃね」
仕様書以上のスピードで増えている。そんな気がする。
「でも増えることはいいことじゃないでしょうか」
「まぁ、全くしないよりかはマシなんだが……」
ちょっとイメージと違う。
「でも多ければ多いだけ得じゃないでしょうか。そもそも1個のヨクトウイルスで生物を洗脳できるかどうかもわかりませんですし」
「まぁ、生物によってはヨクトウイルスが複数必要なのもいるだろう」
一応仕様書では保険も含めて1兆個ぐらいで大丈夫かという気持ちではいた。
これでも全生物を洗脳できるかどうかは微妙なのだが、ヨクトウイルスの繁殖スピードを見る限りでは、数には苦労しなさそうだ。
「さて、一番重要なのができた。残るは……」
「……」
「……」
「……。キャハ☆」
「ヨクトウイルスの成分分析をすれば、動物実験を行った後に本格的に世界中にばらまいて世界征服成功のはずだったのだが」
「それを、拙者が爆破したのが悪いといいたいのでしょうか」
「そういいたかったのだが、正直微妙な気がする」
「差し出がましいのじゃが、ヨクトウイルスの成分分析はすっ飛ばしていきなり動物実験してからってのはどうじゃ」
「それもワシは考えたが、肝心の操る機械も見るも無残に焼け焦げているからなぁ。とはいってもエヌジン。成分解析の機械や操る機械はヨクトウイルスを生成する機械に比べて作るのはすこぶる楽だ。十分ワシ達の世界征服計画は前進したぞ」
「そういってもらえると拙者はありがたい」
「だが、勝手な行動や嘘をつくことなど、問題点が見つかった。今後の世界征服のためにはチームの和を乱さないことを心掛けるように」
「ナニヲイウカ、コノオッサンハ」
……今、なんつった?
「ふっふっふ、いくら世界征服にいい案を出してもそれを仕切る人が悪かったらなかなかうまくはいかないですぞ。第一、チームと言えども今回は拙者とコルテックス殿しかいないだがろうに」
「ワシが聞こえないよう小声で言うな。言いたいことがあったらはっきり言ってはどうだ」
「コルテックス殿。とりあえず本日はもうお休みになられたらどうですか。疲れていると人間はよくダメな部分が出てしまいますぞ」
「急に来たな。いきなり話を変えだしたな」
今日のエヌジンを見る限りでは、何かありそうなんだが。
「仮にワシじゃなくとも、ゴールが見えている今の現状までまで来たら焦ってやりたくなるだろ。今すぐに焼け焦げた機械の再築とか」
「そういう目先のことしか考えずに色々と失ってきたコルテックス殿に一言アドバイス」
「なんだ。それとちょっと隙があれば毒づこうとするな」
「今から機械作れますの。物理的に」
「………………」
ワシはやる気満々だ。そしてまだまだ体力もあるはずだ。
だからと言って機械を作る部品や金属そのものは流石に生成できない。
そして時間的にも買いにも行けない。
おまけに通販でも、お急ぎ便とかにしてもすぐには届かない。
ついでに言えば作るべき機械の詳細についてはすでに仕様書が出来上がって一度作って予備稼働までした。
故に、今ワシはやることがない。やる必要性がないってところか。
もうすでに机上の空論は終了している。
でも今回のは役には立つけどな。
「……そーなのかー」
「何、その複雑な表情に複雑なポーズ」
「受け入れたくないのだが、今ワシができることはないみたいだな」
「そうですじゃ。今日はとりあえず寝て明日から頑張りましょう」
「わかった。というわけでエヌジン」
「なんです」
「今日のワシの寝るところはどうする」
「寝るべき場所に寝るのが一番でしょう。幸いコルテックス殿の部屋自身は部屋としてギリ残っていますので、ここですぞ」
そういってワシの(焼け焦げた)部屋を指差すエヌジン。
鬼か!!
「布団に関しては、拙者がお貸しいたしますぞ。拙者の予備を」
いつの間にか予備の布団を抱えていたエヌジン。
準備良すぎるじゃないか。
「お前、いつの間に布団を」
「いや、拙者は最初から持っていましたぞ。どうやら人間は注意をしていないと全然意識しないんですね」
また毒づくエヌジン。ここまで毒づかれるとなんだか疲れてきたな。
もうワシも反論しなくていいかも。
「……わかった。とりあえずワシは寝る。明日のことは明日考えよう」
「では。さっさと寝ろ」
そういって布団を投げるに近い形でワシの部屋に置いてとっととエヌジンは部屋に戻った。
今日は滅茶苦茶複雑な日だな。
どこからツッコめばいいのかよくわからん。
まぁツッコんだってどうにもならないので雑においていった布団を敷いてワシは寝ることにした。
続く
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